ドイツの緑色、、、、と私は名づけている、森の多い国の森の色、緑の色。 フランス、イタリー、ギリシャなど海に囲まれた国々では緑よりも海の色、青に出会う事が多い。 ギリシャの島々で出会う青の様々な事といったら、それは海の深さにより微妙に変化する青さの色彩の表情そのものだ。
黒から白に至る、暗から明に至る繊細な灰色の変化は色彩学によれば、色彩の範疇には入らない、、、そうだが、何はともあれ、これほど寡黙で深淵で静寂で美しく包み込むような包容力のある色を知らない。 ハンブルグの霧に包まれた世界はそのままが一枚の絵画である。 冬の憂鬱な夕方が暗さを増す頃には、霧は棚引き棚引き、ひそやかにほほえみ合い重なり合い、いつか灰色の霧は濃度を増し、幽愁に沈みしずんで崩壊し街全体を覆ってしまう。 そんな世界に彷徨する時、私は時々、ある短編小説、、、小説というにば、短編というには余りにも短い小説 「仲間」 を思い出す、、、霧の深いロンドンの深夜のしじまをさまよう不思議な親子を思いだす。